なぜ、心はこんなにも苦しいのだろうか。
なぜ、心はこんなにも幸せを感じられないのだろうか。
その原因は、まさしく自己否定にある。
つまり、心の中で自分自身を滅多斬りにしているからだ。
たとえば、人から馬鹿だと言われても、自分では賢いと自負があれば、相手からのボールをキャッチすることなくやり過ごすことができ、結果的に心に傷を負うこともない。
なぜなら、心の中では自分自身を肯定しているからだ。
一方、人から馬鹿だと言われて傷つくのは、表面的には「何だ!」を怒りを感じても、心の中では人からの評価を真に受け止め、結局のところ「自分は馬鹿なんだ」と自己否定しているからである。
だから、心の中に押し寄せる苦しみというのは、まさに、あなたがあなたを否定した瞬間に生まれる。
では、どうすればこの苦しみの生成を止めることができるだろうか。
否定がいけないのなら肯定すればいいと思うかもしれないが、「自己否定の種」を抱えたまま無理に肯定すれば、心に摩擦が生まれ、否定観念をかえって強めることになる。
苦しみからの開放の鍵は、「自己受容」にある。
つまり、ありのままの自分を、否定も肯定もなく、そのまま受け入れるのである。
ただただ、ありのままを受けれる。
たとえば、誰かに対して怒りがこみ上げてきたとき、それを相手にぶつければ、相手を傷つけてしまった自分を否定することになる。
あるいは、こんなひどい感情を抱く自分を否定すれば、それも苦しみにつながる。
こんなときは、「心の中に怒りがある」と、その事実をそのまま認めるだけでいい。
そうすれば、その感情は滞ることなく、あなたの心と身体から流れていき、苦しみを生むことはない。
人の中心にある本質は、純粋で優しい心だ。
しかし、自己を否定すれば、あなたの中心にあるその本質を真っ向から否定する観念をあなた自身が採用することになる。
つまり、苦しみとは、あなたがあなたの本質から離れてしまったサインなのだ。
だから、あなたはあなた自身を、否定することもなく、無理に肯定することもなく、ただただありのままを受け入れればいい。
そうすれば、あなたの本質、つまり、純粋で優しい心は自然と湧き上がり、それを感じるだけであなたは幸福に包まれる。